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ビットコインを匿名で取引する方法|おすすめウォレットと匿名化の手順を徹底解説

本記事はマネーローンダリングや不正送金、その他犯罪行為を推奨・助長するものではありません。その点、ご留意ください!


どの暗号資産を使うか

暗号資産には大きく分けると「取引が透明化されていて追跡可能なもの」と「匿名性が高く追跡が難しいもの」があります。

取引が透明化されているものとして代表的なのがビットコイン(BTC)です。ビットコインのメリットは暗号資産による支払い対応環境が整っている点です。暗号資産といえばビットコインというほど認知度が高いので、ビットコインを持っていれば暗号資産による支払いに困ることはないでしょう。デメリットはすべての取引が記録され改ざんできないため、資産の把握や取引内容がすべて全世界に公開されてしまう点です。

匿名性が高い支払い方法としてよく使われるのはダッシュ(DASH)やモネロ(XMR)です。ダッシュは誰と誰が取引したのか匿名化しますが、取引額は分かります。それに対してモネロは誰と誰が取引したのか、という点に加えて取引額も匿名化します。

プライバシーの観点を考慮するとダッシュやモネロで取引したいところですが、匿名性の高い暗号資産はマネーローンダリングなど犯罪の温床となりやすいため日本国内の正規の取引所では現在利用できません

そのため、匿名性の高いダッシュやモネロで支払いたい場合はMEXCのような海外の取引所を利用すると良いでしょう。MEXCは最大手の取引所のひとつで日本人も多く利用しています。わたしもそのひとりです。

ビットコインで匿名取引する準備

ダッシュやモネロは匿名性が高いとはいえ、取引先が匿名性の高い暗号資産を受け入れているとは限りません。暗号資産の主流はビットコインなので、利便性を考えるとビットコインで匿名化する方法を知っておく必要があります。

ビットコインはご存じの通りブロックチェーン技術に基づいており、すべての取引はブロックチェーンに記録され誰でも閲覧できます。ブロックチェーンには送受信者のウォレットアドレスと取引量、日付、時刻が記録されているので、ウォレットアドレスが分かれば現在の残高が分かりますし過去の取引内容をすべて確認することができます。誰でも簡単にビットコインの流れを調べることができるサイトとしてよく知られているのはWalletExplorerです。また、トランザクションIDを追跡するにはBlockchain.comblockstreamが便利です。

つまり、何も考えず普通にビットコインで取引していると「いつ」「誰が」「どのような取引をしたのか」簡単に追跡できます。そのような追跡を回避するには多少の手間とコストをかける必要があります。

大まかな手順は以下のとおりです。

法定通貨をビットコインに交換する

最初にビットコインを手に入れる段階で匿名化したい場合、LocalBitcoinsやビットコインATMを利用するなどいくつかの方法があります。しかしこれらの方法は詐欺などの犯罪に巻き込まれる可能性がありますし、高度に匿名化したい場合は自ら犯罪に加担する必要がでてくる場合があるため一般の方にはおすすめしません。

ここはおとなしく誰でも利用できる合法的な取引所を利用した方がいいでしょう。取引所は国内外どこを利用しても構いません。

国内の取引所を利用するメリットは、金融庁の暗号資産交換業者として登録されているので安心して利用できる点です。暗号資産交換業者として登録されている会社は資金決済法上の定義に該当しているため、利用者から集めた暗号資産を使い回したり破産してすべて失ったりする心配がありません。

また、eKYCというオンラインで完結する本人確認システムの導入が進んでいるため審査が早く、最短10分ほどで口座開設できるので早く口座を開設したい方にも国内取引所がおすすめです。後で説明しますが、安全性と匿名性の両方を高めたい場合は2つ以上の別々の取引所で口座を開設すると安心です。

口座開設手続きが簡単で早いのはbitFlyerです。Coincheckは少し手間がかかりますが、審査がしっかりしています。わたしのお気に入りはbitFlyerです(理由は後述)。

海外の取引所を利用したいのであればMEXCが大手でおすすめです。MEXCのメリットは、ビットコインはもちろん国内取引所では取り扱っていないモネロやダッシュのような匿名性の高い暗号資産を使える点です。注意点として日本円を直接入金できず、暗号資産で送金する必要があります(クレジットカードによる送金は停止中)。

それぞれ事情があると思いますのでお好みの取引所を利用してください。支払いにビットコインのみ使う場合は国内取引所が手軽ですし、より匿名性の高いモネロなども使いたい場合はMEXCを使えば良いでしょう。なお、トレーディングをしたいわけではないので、トレーディングツールの善し悪しは気にしなくて問題ありません。

口座を開設したら入金しビットコインを購入しておきます。ビットコインは値動きが激しいので一度に大量に購入しない方が良いでしょう。

入金額は支払に必要な最低額が理想ですが、この後で匿名化する際に手数料などがかかるので、その辺りを考慮して少し余裕をもった金額分のビットコインを購入してください。

ビットコインを移動する

ビットコインを購入した直後の状態は匿名性が皆無です。取引所にアカウントを作成する際に身分証明書を提出していますので、あなたのウォレットアドレスで不審な動きがあれば簡単に身元を特定されてしまいます。

そのため、匿名性の低いウォレットから信頼できる別のウォレットにビットコインを移動させ、そこで匿名化する必要があります。現時点で現実的かつ安心・安全な方法は「Wasabi Wallet」を利用することです。

Wasabi Walletとは

Wasabi Walletはオープンソースのビットコインウォレットで、Windows、Mac、Linuxに対応したデスクトップアプリケーションです。スマートフォンでは利用できないので注意してください。

Wasabi Walletはプライバシーを尊重し、取引がおこなわれる度に同じ秘密鍵で新しいアドレスを生成します。そして、一番の大きな特徴はCoinJoinを内蔵している点です。

Wasabi Walletを使うメリットは匿名性を高めるだけでなく、取引所を介すことなくビットコインの送受信ができるので、邪魔されない(取引所に送受信をストップされない)というメリットがあります。

Wasabi Walletやハードウェアウォレット使い方は次の記事で詳しく解説しています。

Wasabi Walletが安全で匿名性が高い理由

理由1:CoinJoinを内蔵している

さきほど書いたように、Wasabi Walletの特徴のひとつがCoinJoinを内蔵している点です。CoinJoinの仕組みを簡単に説明すると、複数の参加者のトランザクションを組み合わせてひとつの大きなトランザクションにまとめることで、どのアドレスからどのアドレスに送信したのか判別できないように難読化する行為です。つまり、最初は匿名性の低い国内取引所から送信されたビットコインであっても、CoinJoin後は未知のアドレスから送信されたビットコインに置き換わります。そのためCoinJoinした後のビットコインから元の取引所まで辿ることができなくなります。

注意点としてウォレットアドレスは使い回さないようにしてください。匿名化が崩れる原因となります。基本的なことですが、ビットコインの取引をおこなう際は常に新しいアドレスを生成する必要があります。その点ではWasabi Walletは取引ごとに新しいアドレスを生成するので安心です。

Wasabi Walletから出金する予定の方は、Wasabi Walletに送信する取引所とWasabi Walletから受信する取引所を分けると良いでしょう。完全ではないですが、少なくても同じ取引所を使い回すよりは操作ミスなどで匿名化が崩れる心配が減ります。複数の取引所で口座を開設してもお金はかからないので、この方法はおすすめです。

理由2:Torを内蔵している

Wasabi WalletはTorを内蔵しています。そのためTorがインストールされていない環境でもTorで通信し、IPアドレスから追跡されることを防いでいます。

Tor通信は透過的におこなわれるので利用者が注意する必要がなく安心です。ただしTorは匿名性を崩される場合があるので必ずVPNを組み合わせる必要があります。また、Wasabi WalletのバグなどでTor通信せず取引する可能性もゼロではないので、匿名性を高めたい方は必ずVPNとTorを組み合わせて利用してください。

匿名性と安全性を高める

ビットコインを盗まれる危険性や匿名化が崩れる可能性を減らすためにはいくつかの対策が必要です。

VPNで通信を保護する

Wasai WalletはTorを内蔵していますが、本当に匿名性を確保したい場合は必ずVPNで通信を保護してください。操作ミスや知識不足、攻撃により匿名性は簡単に崩れます。また、Wasabi WalletのバグでTor通信しない可能性もあるため特別な理由がない限り、VPNとTorを組み合わせて匿名性を高める必要があります。

ハードウェアウォレットを使う

大事な暗号資産を守るためにもハードウェアウォレットの利用を検討してください。ハードウェアウォレットは暗号資産のウォレット(秘密鍵)を保存するデバイスです。

ハードウェアウォレットを使うとパソコンなどオンライン上のデバイスからウォレットを分離できるので、暗号資産の盗難を高確率で防ぐことができます。また、Wasabi WalletでCoinJoinしたのちハードウェアウォレットにビットコインを移動すれば、ハードウェアウォレットで保管しているビットコインは常に匿名性が高く安全な状態を保つことができます。

ハードウェアウォレットを購入する際は絶対に中古品や粗悪品に手を出さないでください。おすすめは、わたしも利用しているLedger のハードウェアウォレットです。

もしもホットウォレットのみ使う場合、決して普段利用しているパソコンにWasabi Walletをインストールしてはいけません(ホットウォレットとは、インターネットに接続した状態でウォレットを保管することです)。専用のパソコンを用意するかVMWareなど仮想マシンを使ってウォレット専用のパソコンを用意してください。

実践編 ビットコインで匿名取引する

おさらいすると、まず最初に取引所でビットコインを購入しWasabi Walletに送信します。この時点では匿名化されていません。次にWasabi WalletでCoinJoinを実行して取引所から送信された履歴を断ち切ります。この時点でビットコインは匿名化されます。そして、匿名化したビットコインをハードウェアウォレットに移して盗難のリスクから守ります。

ビットコインの流れを追うと次のようになります。赤線は匿名性が低くプライバシーのないビットコインの流れです。青線の箇所はCoinJoin後に赤線の箇所でやり取りされたビットコインとの関連を断ち切ったビットコインの流れです。


ハードウェアウォレットを利用したくない方はここから先はホットウォレットにビットコインを保管しているものとして読みかえてください。

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